宇陀松山観光案内ホームページ hdr_en.gif
散策ノススメ
「散策のススメ」
松山地区まちづくりセンター
散策ノススメ その2
城下町の入口
黒門(松山西口関門)考
 今回は「黒門」についてです。
 正式名称は「松山西口関門」といい、国の史跡に指定されています。西口関門の何に価値があるのか?それは「創建されてから、ずっとそこに在る」ことです。この門は平成13年度の発掘調査で間接的ではありますが、今から約400年前につくられたことが確認されています。
 黒門は、近世の城において枡形の城内側または大名屋敷の主要な入口に設けてある門によくみられる「高麗門」形式の門です。「高麗」といっても、朝鮮半島から渡ってきた形式ではないようで、日本でしか見られません。?(まぐさ)・控え柱といった最低限必要な箇所に屋根をかけ、門の外側から大きな力がかかることを考慮してつくってあります(図1)。「外敵から町を守る」「高い耐久性」「低コスト」等の要求に応える形として、日本で生まれた形式と考えられています。
 黒門で特に注目したいのは、木戸門のように?の上にすぐ屋根が載せられている点です(図2)。日本各地の城や屋敷でみかける高麗門の殆どは、?の上に束柱を入れ、土壁や板壁になっています。?の上に壁を持たない黒門は、高麗門形式でも初期の形をしており、木戸門から高麗門形式へと移行する様子を示しているのでは?と推察できる建物としても重要な証です。今後、大阪城大手門や姫路城いの門・ろの門・への門等々、黒門と同じような形をしている門をご覧になる機会があれば、?とその周辺を注意して観察してみてはいかがでしょうか。
 黒門は普段から目にしているため、こういうものが日本中に当たり前のようにあるものだと思いがちです。しかし、実際にはこのかたちが全国的に見ても稀な存在だということを確かめていただきたいと思います。町並みについても同じ事が言えますが、これは順を追って掲載します。
 次回は町並みの中に流れる前川と、町並みの脇を流れる宇陀川についてです。
susu_02img01.gif
susu_02img02.gif

【参考文献】『大宇陀町文化財調査報告書第5集宇陀松山城(秋山城)跡(遺構編)』/大宇陀町教育委員会/2002年3月、『城と城下町』石井進監修/山川出版社/1999年7月、『寺社建築の歴史図典』/前久夫/東京美術/2002年3月、『建築用語図解辞典』/橋場信雄/理工学社/1970年2月、『国宝・重要文化財目録』/文化庁編/第一法規/1991年7月
susu_boder.gif
 散策ノススメ[その1]
路地の向こうに西山岳が見える
散策ノススメ[その3] 
オモテとウラの「水際の風景」