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散策ノススメ
「散策のススメ」
松山地区まちづくりセンター
散策ノススメ その11
二階の窓が面白い
〜窓のカタチ、あれこれ〜
建物の壁や屋根の切り抜かれた部分のうち、人の出入りに使わないものが窓です。採光、通風、換気、展望などさまざまな目的によって設けられます。今回は道路側から見える2階の窓に着目します。
歴史的町並みを歩いたとき、よく目に付くのが虫籠窓です。虫かご(図1)に似ていることからそう呼ばれるのですが、現在市販されている虫かごとはあまり似ていないように思います。竪格子に縄を巻き、土を塗っていることから別名、塗込め格子とも呼んでいます。
虫籠窓は江戸時代の初期からあったようで、京都・大阪・奈良地方の町家から始まったとされています。出始めの頃は当世風(いまどき)の窓としてもてはやされました。
大宇陀の町並みを見た場合、窓の縁に漆喰で装飾したものも数多く見られ、丸いかたちをしたものや、楕円、木瓜型のもの、窓のかたちもいろいろです。
竪格子に分類されている虫籠窓ですが、大宇陀では横に桟が入ったものも見られます。特に変わっているのは、組子が菱形の菱格子(写真1)の虫籠窓です。他に例を見たことがありません。大宇陀以外で菱格子の事例を探すことができるか、遠方に足を運んだときは注意してみてみたいと思います。
窓は虫籠窓だけではありません。近代の建物には2階の壁面のほとんどをガラス窓にしているものもありますし、ガラス窓の桟にもデザイン性が読み取れ魅力的です。写真2は庇の上の開口部がすべてガラス窓になっています。一見、古そうに見えるのですが、所有者の方によると平成6年に取り替えた窓だそうで、古い建物にうまく調和するよう手を加えてあります。
窓はカタチにより機能が異なりますので、建物の中でも住い手の必要に応じて変更されやすい場所です。中には建物が建てられた時のままの窓もありますが、格子を取り除いたり、逆に格子を加えたり、前よりも大きな窓に変えたり、木製建具からサッシに変えたりと、カタチの種類豊富な分、変更の仕方もさまざまです。窓の持つ機能と変更の様子から、現代の住まいに何が求められているのかを考えさせられます。
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図1 虫かご
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写真1 菱格子の塗込め格子
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写真2 リニューアル例

参考文献=『建築用語図解辞典』橋場信雄著1970年2月 理工学社、『建築大辞典』彰国社、『日本民家の造形』川村義之著 淡交社 2000年9月
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