今回は、第1回目として町全体のつくりに関するお話しをします。町並みを読む時、まず道路に着目してみましょう。計画的に整備された「城下町」から発展した町並みの場合は、町をつくるときの考え方を探ることができます。
城下町の場合は、地形と景観に配慮しながら町を建設します。水路や土地の区画(敷地割)等、町の成り立ちを読み解くヒントはいくつもあり、これらを踏まえた上で総合的な評価をするわけですが、ここでは道路と景観の関係について焦点を絞ります。
◆ヴィスタ(見通し)による都市計画
ヴィスタとは、「ある部分を見通しの目標として道の方向を決定する」都市計画の手法です。例えば、「天守閣・櫓聞などが遠くから見渡せる」という具合に、目標に向かってまっすぐ道を敷くわけです。「櫓から城下を見通す」防衛上の意味を持つヴィスタもあります。ヴィスタと道ができる順番は(1)ヴィスタありき、次に道(2)道の向こうにヴィスタをつくる(3)同時(偶然)の4通りで、ヴィスタや道の目標物が持つ重要さ・性格などに左右されます。
先日、市街地でヴィスタを探してみたところ、地図のポイントに立つと西山岳の頂が見えました。中には何を基準に道を敷いたか解らない場所もあり「目標物が無くなった」「ヴィスタ以外の手法で計画された」「特に意味はない」等の理由が考えられます。町の中心的存在である城山と関係が深いヴィスタもあってもよさそうなのですが、まだ確認できていません。皆さんはどのあたりにあると思われますか?
町並みの中には、視線を意識した場所がたくさんあります。その視線が集まる先に何があるのか、どんな理由があるのかを考えながら歩いてみてはいかがでしょうか。
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